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艦これ、ちとちよショート小説
Posted on 6月 16th, 2016 はおりん No commentsちょっとしたきっかけがあって、SSを書いてみた。せっかく書いたので、晒すことにした。内容は、エロくないし、短い。登場人物は提督を含め5人いるけど、2人はモブです。あと、注ぐは「そそぐ」とも読めるけど、「つぐ」と読んでください。本編ここから
平日の午後。昼食も終わり、鎮守府にはまったりとした空気が流れていた。外は弱い雨が降っていたがあいにく風が強く、海は荒れていた。「時化の時は艤装が痛むので、出来れば出撃は控えて頂けると助かりますね。」とは、鎮守府随一のエンジニア、明石さんの言葉だ。今日はもう出撃もやめにしたので、皆、鎮守府の中でめいめい鍛錬に励んでいるようだ。・・・一部の艦娘達を除けば。「このチーたら、すごくおいしいれす!」
「ごーやもいただくでち!」「那珂ちゃん、もう1杯いかがかしら?」「あっ、おねえ!注いであげよっか?」那珂、ごーや、千歳、千代田の4人が、なぜか執務室で飲み会をやっている。まだ昼間だというのに。「えへへぇ。那珂ちゃん、うたいまーっしゅ!」那珂ちゃんはすでにべろんべろんだ。「いえーい!もっとやれでちー!」ごーやもかなり酔ってるが、飲んでる量がハンパない。ザルかアイツは・・・「うふふ、千代田にも注いであげるわね。」「あっ、おねえ…あ、ありがと…」千歳は酒瓶を離さない。どんどん飲ませるし、自身も飲む。千歳の強さもなかなかのものだ。
千代田はあまり飲んでいないようだ。と、唐突に千歳がこちらを向いた。
「提督?お飲みになりませんか?」
「い、いや・・・飲めないの、知ってるだろう?」
「うふふ、実は、すごく飲みやすいお酒を持ってきたんですよ?まるで水のような飲み口で・・・」
「いや、しかし・・・」
「いくら飲んでも二日酔いにならない、とても貴重な日本酒なんですよ。」
「あー・・・水のような・・・」
「えぇ、水のような・・・。一杯、いえひとくち、いかがですか?」こういうときの千歳は、まだ飲むと決めたわけでもないのに、とてもうれしそうな表情をする。過去にもこの表情に押し切られたことがあったが、あの時もたしかに、良い酒だった・・・
「ていとくぅ~、おねえがこんなに言ってるんだよー?ちょっと飲んでみなよー」
千代田のやつ、酔ってんな。
「うふふ、無理にとは言いませんが。」
無理にとは言わないと言いつつ、極上の笑顔だ。これは断れない。
「あー、じゃあ・・・少しだけ・・・」
「はい、では、どうぞ。」先ほどまで持っていた酒瓶とは別の、小さな徳利。そこからお猪口に注がれる、透明な液体。わずかに漂う日本酒の香りから、これが極上品であることが私ですら分かる。少しだけ口に含むと、ぐっと強くなる香り。喉を通るときの、わずかに焼けるような感覚。だが、すーっと消えていくそれらが残す後味は、もう一度味わいたいと思わせるものだった。いつのまにか、千代田が私以上に緊張した面持ちでこちらを見つめていた。「・・・どう、提督?飲みやすい?」
「あぁ、すごい・・・水のようというか・・・確かに日本酒なんだが、すーっと消えていく感じがなんとも・・・」
「ち、千歳おねえ!わたしも飲んでみていい・・・?」
「えぇ、どうぞ。」まだ空になっていないお猪口を受け取り、千代田も少しだけ口に含む。(千代田と同じお猪口・・・)そんなことを考えてしまう私は、すでに酔い始めているのだろうか。「ほんとだ・・・おいしい・・・!」「二人とも気に入って頂けて、良かったわ。わたしも一杯頂こうかしら。」
「あ、じゃあわたしが注いで・・・」
「あぁ、いや、私が注ごう。」
「まぁ、提督。ありがとございます。」千歳は千代田からお猪口を受け取り、私はそれに半分くらいまで注いだ。千歳は、ゆっくりとそれを口に含んでいく。じっとそれを見ていた千代田が、ぽつりと言った。
「みんな、同じお猪口で・・・間接・・・」
酔っているだけではないだろう。千代田は真っ赤になっている。こちらも、顔が熱くなるのが自分でわかった。きっと真っ赤になっているのだろう。
ゆっくりをお猪口を空にした千歳が、千代田を見て、そして、私と目を合わせて言った。「うふふ、また、飲みましょうね。」
千歳も、わずかに頬が赤く染まっているように見えた。
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