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Bluetoothな音楽環境
Posted on 8月 18th, 2009 はおりん No comments最近、Bluetooth搭載携帯電話が増えてきた。というよりほとんどの新機種に搭載されている。Willcomにも見習ってほしいものだが、実は僕もWillcom03の導入と同時にBluetoothな環境に取り巻かれつつある。
ハンズフリーの快適さ
Bluetoothで出来ることはいろいろあるが、ここ最近では真っ先に挙げられてくるのがハンズフリー通話であろう。
しばらく前の道交法改正の折、携帯電話を手に持ったまま運転することは完全な違反となった。
そこでドライバーはハンズフリー通話機器に手を出すことも多くなったわけだが、かくいう僕も、というか僕は法改正よりずいぶん前からハンズフリーな機材を使用していた。単に手で持ってるのが面倒くさかったからだが・・・ハンズフリー機器と言ってもピンからキリまである。
もっとも目にするのはコンビニでも売っている、片耳イヤホンの途中にマイクが付いたものであろう。こちらは価格も安く、今では1000円を切ることもざらにある。当時は安くても1500円くらいしたと思ったが。これらは、同じ形状のものであっても、イヤホンの造りやマイクの性能などによって値段がマチマチであるが、携帯電話に直接、有線で接続するため、ほぼ全ての携帯電話で使用可能である。これに対して、(基本的には)Bluetooth対応携帯電話でしか使用できないが、途中の線が一切無い、というのがBluetoothヘッドセットである。
Bluetoothとは
そもそも、Bluetoothとはなんなのか。当ブログで書くことであるから、技術的な要素に対して説明が入るのはもはや恒例である。
USBが普及してしばらく経つと、当然のように「線が邪魔だ」という意見が出てくる。これは多彩なデバイスを接続できるUSB特有の悩みとも言える。ディスクデバイスを接続することに重点を置いて考えられているSATAなどは、簡便性よりも安定性が重視されるため、無線化したいなどという話は聞いたことが無い。
当初からWirelessUSBやUSBonWLAN(LAN経由でUSB機器を使う構想。LAN経由なので、無線LANを通せば無線化できる)など、複数の構想が考えられ、USBの前からあったもの、USBより後に生まれたものなど、様々なものが「近距離におけるデバイスの接続方法」として議論されたが、Bluetoothもその中の1つである。Bluetoothは当初、IrDAを汎用化する目的で研究が開始されたと聞いている。その後、赤外線には赤外線の良さがあるということで、IrDAの規格を継承/置換するのではなく、短距離の通信を目的として、複数のデバイスをワイヤレスで、相互に接続できる方式として規格化された。短距離といっても、デバイスの出力次第では100mまで通信可能だが、速度や「ペアリング」という特性上、当初はマウスやキーボードでの利用が主であり、ほとんどのデバイスが(今でも)通信距離は10mとなっている。なお、理論値10mなので、実際には10mも離れたらほぼ通信不可能である。
Bluetoothは多彩な機器に対応可能なように設計されており、拡張性も十分に考慮されている。
プロトコルは「プロファイル」というもので定義されており、同じプロファイルを持った機器同士であれば(ほぼ)必ず通信できる。
たとえば、Bluetoothヘッドセットは通話用プロトコルである「HSP」、さらに「HFP」を実装しており、Bluetooth対応携帯電話も基本的には最低でもこの2つを実装している。
HSPは携帯電話からモノラルの音声を送信すると同時に、ヘッドセットからモノラルの音声を送信するためのプロファイルであり、これがないと通話が出来ない。
さらにHFPはヘッドセット側から、発信や着信の操作を可能にするプロファイルなので、これがないとヘッドセット側のボタンで電話が取れない。
また、一般的に携帯電話側やPC側のBluetoothのプロファイルはソフトウェアにより実装されており、この、Bluetoothのプロファイルを提供し、Bluetooth機器を制御するソフトウェアを「Blueotthスタック」と言う。iPhoneやPCは、このスタックを更新することで新しいプロファイルに対応することが可能であり、たとえばA2DPというプロファイルに対応していないBluetoothのUSBドングル(USB端子にぶっさす、送受信機)を買ってきても、A2DPを実装したスタックがPCに入っていればA2DPが使用可能となる。なお、今のところ「このBluetoothドングルでA2DPは使用できません」と言われたことは無いので、おそらく全ての製品がソフトウェア実装のはずである。なお、Bluetoothは無線LANの802.11b/gと同じ2.4GHz帯を使用するが、基本的にはお互いに周波数ホッピングを行うため、最近の機器であれば干渉することは少ない。
が、802.11nの倍速モードだと周波数ホッピングの限界に達してるのか、それともうちの無線LAN親機の性能が悪いのか、Bluetoothが通信中は無線LANが遅くなる。
ちなみに、無線LANの構築を良く行うことのある技術者の間では、まれに、「Bluetoothは自己主張が強い」とか言われることがある。これは無線LANより先にBluetoothの方が周波数ホッピングを採用したため、無線LANとBluetoothを両方有効にしているとBluetoothが見えて無線LANが見えない、ということが発生することが多かったためである。また、無線LANはチャンネルを変えることで、使用する周波数帯域をわずかながら上下にずらすことが可能であり、これが無線マウスや無線キーボードなど、同じく2.4GHz帯を使用する機器との干渉を防ぐ上で重要な手段となっていたのだが、Bluetoothにはこのような設定は無いため、Bluetoothを有効にしていると無線マウスがまったく使えなかったりした時期があったので、総じて「自己主張が強い」と言われたりするのである。
ま、その当時、Bluetoothと無線LANと無線マウスとを全部使用していた人なんてほとんどいないため、上記のセリフを吐く技術者はほとんどいない。
ちなみに僕は当時も今も無線機器が好きなので、当時、大枚はたいて無線マウスを買ったりしていたため、無線の干渉には良く悩まされた。なお、現在は、無線マウスや無線キーボードも、周波数拡散を行っていたり、親子設定の際にランダムで周波数を変えていたり、無線LANもBluetoothも周波数ホッピングを採用して空いているチャンネルを自動で探したりするため、基本的に干渉することは無い。
が、先にも挙げたとおり、うちの802.11nでは干渉を起こしているため、各機器の性能に依存することがあるのだと思われる。
ちなみにBluetoothと無線LANと同時に通信していても、横にある無線マウスは快調に動作中である。Bluetoothヘッドセット
最初に買ったBluetoothのヘッドセットは、ヤフオクで売られていたもので、Bluetoothの送信機とセットで3500円という格安のものだった。僕の電話はBluetooth対応では無かったため、通常の平型端子からBluetoothを使用可能にする送信機がセットになったものを購入した。
残念ながら、これは音質が悪く、あまり使い物にならなかった。しかし、その後、Willcom03の導入と同時に状況は激変する。Willcom03は標準でBluetoothを搭載しており、ハンズフリー通話が可能になっていた。そこで新たにSonyEricssonのヘッドセットを入手し、試してみたところ、非常に快適に通話が出来、すっかりBluetoothの虜となってしまったのである。
なお、最初に買った安いヘッドセットも、多少音が悪いものの、Willcom03で使用する分にはまったく問題ないとのことで、問題は送信機側であったことが判明している。さて、こうなってくると、音楽も無線で飛ばせないだろうかと思い至る。Bluetoothならばもちろん可能だ。
Bluetoothでステレオ
Bluetoothで音楽を楽しみたい場合、HSPプロファイルでは多少、いや、かなり不満なことになる。音声がモノラルでしか伝送されてこない上に、プツプツザラザラとノイズが載るからである。通話程度であれば、Bluetoothのノイズよりも電話回線そのもののノイズのほうが問題となるので大して気にならないが、音楽を楽しむとなれば話は別だ。
そこでBluetoothには「A2DP」というプロファイルが用意されている。期待通り、音楽を高品質にステレオで伝送するためのプロファイルだ。Willcom03は標準でこれに対応しているので、あとは対応している受信機を買えばいい。
A2DP対応のヘッドフォンは、ほとんどが耳かけ式だが、僕はお気に入りのヘッドフォンを使用していたため、ステレオミニジャックを備えた製品を探した。その結果、SonyEricssonの「HBH-DS205」を購入した。デザインも良く、待ち受け時間(音楽を再生していないけど、いつでも再生できるように待機している時間)、連続再生時間ともに長く、もちろんステレオミニジャックも備えていて、さらにHSP/HFPプロファイル対応で通話も出来る優れものである。
はっきり言って、この製品は・・・大当たりであった。
よ~~く聞いても、有線との違いがわからない。中音域の良く通る、僕好みの発音。一見するとBluetooth機器とはわからないスタイリッシュさ。
このDS205をWillcom03につないだり、ノートPCにつないだりして、音楽やアニメ・ゲームなどを楽しんでいた僕だが、そうなると今度は部屋の、ベッド脇、PCから離れている場所にもスピーカーがほしくなり、これをBluetoothで実現できないかと思い立ったのである。そして、やっと本記事の本題。
Bluetoothスピーカー、BIT-STB2825
Bluetoothヘッドセットやヘッドフォンはたくさんあるが、Bluetoothスピーカーとなるとほとんど無いのが実情である。
その中で、比較的安価な製品がBIT-STB28XXシリーズ、リテールコム社のBluetoothスピーカーである。今回僕が買ったのは、その中でもおよそ中間に位置すると思われる、STB2825、円筒形のモバイルスピーカーである。
直径およそ4cm、長さおよそ16cmの円筒の両端にスピーカーが配置されており、内蔵のリチウムイオンバッテリで公称6時間、実測15時間以上動く、非常に便利なBluetoothスピーカーである。見た目はご覧のとおりの円筒形。別のブログでも書かれているが、転がしてみると、本当に問題なく転がる。
一応、後ろ側が多少重くなっているらしく、ボタン類を上にして止まるようになっている模様。背面にはステレオミニジャックの端子と充電端子がある。充電端子は海外製品に良く見られる、直径2mmの5V端子。
このスピーカーはアンプが搭載されているため、パワードスピーカーとして有線でiPodなどに接続しても威力を発揮する。モバイルで10時間以上動いて、それなりの音量が出せるスピーカーなんて、そうそう無い。スピーカー部にはアクリルの薄い板がはめ込まれており、スピーカーそのものを保護している。
スピーカーそのものは、径が小さいためデスクトップスピーカーほどの音質は期待できない。少々クリアさに欠ける。しかし、ノートPCのスピーカーよりは良い音がする。特筆すべきはバッテリーの性能だ。
コミケの際に車待機の間使用していたが、深夜23時に電源を入れて、断続的に再生したりしなかったりを繰り返していたが、翌日の深夜23時になってもまだ再生していた。その時点で、もう寝ようと思ったので充電を始めてしまったのだが、連続再生でなければ1日以上問題なく使用できることが判明した。
また、音量もかなり上げることが出来、iPodからの出力を最大にして、スピーカーの音量も最大にすると、ほぼ間違いなく「やかましい」と言える音量になる。大声を出さないと声が聞こえないくらいだ。
今も、スピーカーの音量を、上から5つ下げ、PCのWinampの音量を中間にしているが、普段、BGMを流す程度の音量になっている。電話をするときに多少邪魔になる程度の音量だ。
ちなみに、両方を最大にするともちろん音が割れる。スピーカーの方だけを最大にしても、アクリル板が共振することがあるので注意が必要だ。総じて、音質が良いとは言えないまでも、非常に便利なスピーカーである。普段使いでBGMを流しておくには十分だと思うし、また、普段からBGM用スピーカーとして使っておけば充電もされる。
また、Bluetoothで無線なので、部屋のどこにでも好きなように配置できるのはすばらしい。これからも、Bluetooth機器は増えそうだ。
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